歌は愉しい
風通ふあしたの小径(こみち)歩みゆく癒えざるも君清(すが)しくまして
というのが美智子皇后陛下御歌。
そういえば1月14日は歌会始だったのだ。見逃しにけり。
当代随一の歌人とも知られる美智子皇后。「癒えざる」「君」って雅子妃では。雅子妃への応援かなわけかしらん。まあそれにしても「癒えざるも君清しくまして」っていうのはなんかうまいなあ。なんて思ってたら、「君」ってのは天皇のことらしい。
紅葉ふかき園生の道を親子三人なごみ歩めば心癒えゆく
雅子妃はこう歌ってた。
お題は「歩む」で「癒やす」じゃないんだけど、ここで皇后と妙な符合。天皇家も癒しがブームなのか。
これも好きだ。結構破調だ。伝統と対立する雅子妃のスタンスが歌にこめられているようであるなあ。特に「もみじふかき」と三連符を二つ続けるように始まるあたりがリズミカルでたのしい。「もみじふかき」ときて今度は「おやこさんにん」でまた三連符。なかなか、音楽的ですなあ。永田和宏の
スバルしずかに梢を渡りつつありと、はろばろと美し古典力学
を連想する、いい感じのリズム。
ちなみに今年の選者でもあった永田和宏は
ゆつたりと風の歩みの見えながら岬に遠き風車がまはる
という歌。
今年は佳作に9歳の女の子が入ったっていうんだからおどろく。
群馬県の天野莉那さん
お母さんお母さんてばお母さん影ふみ歩き明日も天気
なんか繰り返し読んでいるとある哀調も帯びてきたんだけど、これはからっとした元気な歌ということで。ぴょんぴょん飛び跳ねて遊んでるこどもの元気さ。
ちなみに皇太子は
頂きにたどる尾根道ふりかへりわがかさね来し歩み思へり
で、秋篠宮は
頂へ登り行く道歩みとめ山高く咲く花を愛でたり
山兄弟。しかし、皇太子はもう達観してしまっているようだ。秋篠宮の歌はなんかナンパしてる情景にも見えてくるから不思議。