深刻への処方箋

角田光代対岸の彼女』読む。
まあ、主軸を成す三人の女性がそれぞれ「対岸の彼女」だという話で。
しかし、書かれていたようなこうるさい姑、妻の仕事を見下す旦那っていうのは本当にいるものなのかね。「彼女」のひとりである「葵」の高校時代のエピソードは大きな事件があるだけあって読まされた。いじめの連鎖構造を書いているところや、いじめられた子がいじめに対して自分なりの保険をかけていくところなんかはリアリティがあった。読後感はなんか整理しきれない感じなんだけど。
面白い一文があって、「黙って腹にためこめば深刻味を帯びるが、口にすればどうしたって喜劇なのだ」というもの。そうだそうだと膝を打つ。