運命の人

故あって某杜の都に行く。新幹線は日曜日とあって帰省の人々でそれなりに混んでいる。東北方面の新幹線は平日でも混みがちだけど。ご老人が孫の顔を見に上京するパタンが多く、しかも小金があるのでグリーンから埋まっていく傾向あり。
こまちのなかでコピーしといた山崎豊子の「運命の人」第一回から第四回、そして文藝春秋5月号の第五回を読む。バスの揺れ方で人生の意味が分かったスピッツの運命の人とは違って、こちらはごつごつの社会派。沖縄返還交渉の舞台裏を一人の新聞記者を軸に書いてる。ほんとにあった事件をもとに書いてるらしい。だからその辺の政治史なんかがとても絡んでいる。おぼろげに分かりながら読み進む。と同時に新聞記者の仕事って大変だなあと思う。まあこの主人公はすご腕だから。白い巨塔の財前教授みたいな。まさに「社長室の家具」(斎藤美奈子)『文藝春秋』連載がぴったりの作品。

文藝春秋』5月号には石原慎ちゃんの「仮想と虚妄の時代―援助交際と純愛」という説教が載っている。

異性の、特にうら若い女性の唾や尿に固執する変質者は昔から存在していただろう。それはそれぞれの生まれながらの肉体的特質や、人生の曲折によって造成された嗜好だろうが、人間のそうした公言公開を憚るはずの感覚の恥部に依る需要を、このIT時代の文明は簡単に市場化してしまい、そこで、今までなら限られた職掌の女性だけが対象とされたろう異常な嗜好への供給を、若い、特定な職掌に属さぬごく一般の女性が供給者として組み込まれる機能が容易に社会的に開発され蔓延しているということの問題性――。


について85枚書いてらっしゃる。
まるで何かの訳文のような文体になっていて、説教なのに説教じゃない感じがするところが都知事マジック。
ちなみに今月号はグラビア「日本の顔」で小島信夫が出ている。

牛タン寿司というものをたべるが、おいしいのかどうか。