両国駅前ドトール

両国のブックオフ井狩春男『返品のない月曜日』(ちくま文庫)購入。ものすごい夕立ちのなかレストラン河村でポークソテーを食べ(ちょっと荷風な気分なのだが、いかんせん仕事中の身。ビールは控える)両国駅で時間をつぶす。
両国駅ドトール。中国人留学生のアルバイト店員が日本人青年店員に「なすり合う」という言葉の意味を訊いている。店の奥ではさえない男女が「あんたが誰でもいいならそれでいいけど」といった気まずい会話に花を咲かせている。『返品のない日曜日』は取次書店、鈴木書店に勤務してた著者のエッセイ集。鈴木書店といえば人文書の流通では超有名なところで、大学生協の教科書販売のバイトをしていたとき、鈴木書店から届けられる本を在庫に運んだりしつつ鈴木書店を「経験」したのだった。が、そのあと鈴木書店は倒産。生協でバイトしていなかったら、一生接点のないままだったのかもしれない、とか思いながら読む。ちなみに生協でのバイトは、講義要綱を人より早くディープにチェックすることができたので、大学生活とその後の人生に大きな影響を与えることになる講義を選択するきっかけでもあった、と思い出す。留学生は今度は「スカスカになる」という言葉の用法を訊いている。「スカスカナレイゾーコ」と彼女はうれしそうにつぶやく。別れ話を済ませたのか、奥のカップルが店を出る。雨はやまない。店内はスメタナの「モルダウ」が流れている。とうとうと、それぞれの時間が流れている、両国駅ドトール