ヒストリー・オブ・バイオレンス

歌舞伎座のすぐ近くのシネパトスでクローネンバーグ監督作品「ヒストリー・オブ・バイオレンス」。まず何といっても90分少々の長すぎない時間に物語を凝縮しているのがえらい。大変見やすかったのであった。始まりがアメリカの田舎の不気味に静かな晴れた日なのだが、これがエドワード・ホッパーの絵のごとく、そのアメリカな赤レンガ、黄ばんだ壁、青い空で目を奪われた。カラッとした風景をバックに謎めいた始まり。静かな恐怖の物語の始まりとして秀逸。
主人公のトム(ヴィゴ・モーテンセン)が自宅前で息子と抱き合うときの表情は凶器をはらんでいて怖い。うまい。ラストの寄る辺ない感じも安易でなくていい。あと官能シーンがかなりすごいことになっていた。コスプレとか。シネパトスの朝、観客3人で快適だった。