古本の季節

先日は早稲田へ行った。たくさんいい本を見つけたが、そのなかでも気になって買おうとしたが5000円するのでやめた本がある。村上護『阿佐ヶ谷界隈』(講談社)。横にあった同じシリーズの(文壇シリーズ?)近藤富枝『田端文士村』が500円だったので、勝手に間違いだと思ったんだが、目録で確かめたらやっぱり5000円した。高見順が言った「中央線沿線作家」について調べようと思っていたので食指が伸びたが、チト高いのであきらめたのだった。
池袋西口でも古本市である。岩波の文学増刊「円朝」が1570円。定価以上なので困った。版切れてるのかしら。買わず。『安田善次郎の鉄道事業』という本も高かったので買わず。戸板康二の『ファッション300年』とかいう本も『三越の経営戦略』という本と一緒の箱入りだったんだが(しかも三越の社長からの「謹呈」の帯まで入っていた)見送り。買ったのは文庫本2冊。安岡章太郎『良友・悪友』(新潮文庫)、吉行淳之介訳『好色一代男』(中公文庫)。探した原彬久『岸信介』(岩波新書)はなかった。ブックオフに行けばあるだろう。そういえばブックオフで買った105円の芝木好子『冬の梅』(新潮文庫)の表題作、枯淡で絶品だった。しぶいが凛々しい。幸田文を思わせる背筋が伸びるような文体が気持ちいい。