四捨五入すれば三十路の帰り道

14歳の母」の生瀬勝久(元・槍魔栗三助)はとてもいい。そして山口沙弥加がいい。なんかこの人、修行したんだっけ? 以前本谷有希子の「遭難、」で昔「高校教師」でいびつな生徒の役やってた反町孝冶(だっけ)が格段に幅が広くなっていて、あら、と思ったことがあったが、この人は文学座できっちり演技の勉強したそうな。
それはそうとして、そうか仮名垣魯文展に行ったのはいつだったか。よい展覧会だった。なんて面白い人なんだろうと分かる催しだった。戸越は国文学研究所まで行った甲斐あり。
五反田団の「さようなら僕の名声」という舞台も見た。これは三島賞候補になった岡田利規じゃなくて、なんだっけ忘れた・・・前田司郎だ。その人の主宰する劇団の舞台なわけだけれども、私演劇を目指したそうで、そうなんだという内容。小島信夫風味、といえば褒めすぎだな。
庄司沙矢香のブラームスのバイオリン協奏曲をNHKホールにて。これも良かったが、ボーン・ウィリアムズの第5番もよかった。というか、これ、シベリウスに捧ぐ曲らしい。北欧と英国の間にある、北海、だっけ、ああいう寒い感じがかっこいい曲。
柳家喜多八、よい。中野で聴いた「鈴ヶ森」が逸品。
エリザベス女王杯カワカミプリンセス降着伝説を目の当たりにした日曜日を越えて、柳家さん喬の「八五郎出世」などなど落語三昧、歌舞伎座にて「先代萩」通しを鑑賞、「父親たちの星条旗」がそれほどでもなかった(とはいえ戦争描写には震える)。三谷幸喜「エキストラ」は伊東四朗角野卓造コンビを堪能。佐藤B作は(パンフレットでの三谷幸喜発言のとおり)劇団主宰としてはすごいところがあるんだろうけど、役者としてはどうなんだろうかと考えさせられる作品だった。先代萩の「竹の間」の最後は一人、また一人と人物が舞台から消えていって、最後は悪役八汐(仁左衛門)と善玉沖の井(三津五郎)の二人が対峙するのだが、これがかっこよかった。一人一人消えて、主要な人物が対峙して言葉を交わす幕引き、これは三谷幸喜の「バッドニュース★グッドタイミング」の最後を思い出した。
それにしても歌舞伎の決め台詞を、声色を使って一度はどこかで使ってみたい。まあ日常会話で使うと危険が伴う。戸板康二『すばらしいセリフ』という本を買った。面白そう。