今年の収穫

今年、初めて知ったことでいい収穫だったのは小田扉とその作品。
『江豆町』に名短篇の味わいを得たのは大きかった。読もうと思っていた『そっと好かれる』を羽田行きモノレール車中および空港ロビーで読む。気に入ったのは66ページ下段「マシンガンでぶっ放せ」の一コマ、小学6年生の女子と男子(腕を骨折したそろばんの天才)が二人で教室のゴミ箱を片手で持ち合って廊下を歩いているシーン。懐かしさが、ゴミ箱の中の潰したパック牛乳の残り香とともによみがえってくる。ゴミ箱を持ち合って焼却炉の部屋に行く、あの短い時間はなぜかいろんなことを話せたもので。このシーンでもちょっとした秘密を会話するんだけども、まさにそういう濃い時間が流れるのが焼却炉までの道程(果たして彼女らの学校に焼却炉があったかは確認できないけれど)。