吉田吉田

携帯電話でFMが聴けるのでたまに重宝する。今日は夜の9時ぐらいからNHK−FMをつけたら現代音楽っぽいのがギコギコやってる。こりゃええわいと思い聴いていたら、ショスタコービッチ弦楽四重奏だった。割と間を空けて解説をする人が進行役。番組の最後は「ショスタコービッチ弦楽四重奏第9番でした」ブツッ、と終わった。それをフォローするように女性アナウンサーが「名曲のたのしみ 吉田秀和さんでした」ときた。吉田秀和(91)でしたかーーっ。道理で不安定な進行。ゆらめく名進行でございました。

そのFMを聴く前に吉田健一『東西文学論』読了。名言満載だった。結論の章はすべて名言。一番気に入ったのは


「文学の読者までが苦労するのなら文学などないほうがいいのに決つている」


という一節。スカッとするな。そして


「苦労して書いたものは読む方でも苦労して読まなければならないという考えはどういう所から来ているのだろうか」


と疑義をはさむ。これなんか、ちょっと警句にさえ聞こえましたですな。心します。