花田家への試み/小三治独演会

5月30日夕刻の二子山親方の死去は現役時代を知らないからか、花田家騒動にそれほど興味を持っていないからか、個人的に大きなニュースになっていない気がするが、花田家というのがそれこそ抱擁家族とか別れる理由とかそういう言葉で語っていけるのならば少し興味をもてるのかもしれないと試みているところなのである。

三戸祐子定刻発車』(新潮文庫)。
5月の新刊。タイムリーさにおいてはものすごいタイミング。
けっこう飛ばしつつ読んでしまったが、印象に残ったのは定刻発車の祖・結城弘毅の名前(飲んだくれで国鉄内でも奇人扱いだったというのがいい)と、「車内」という空間の変容と公共空間との関係、公意識の変容というあたり。電車を単なる移動手段ではないものとしたときに、では女性の電車内での化粧は必ずしも悪いことと言い切れるかどうか。結構難問かも。

上野鈴本、柳家小三治独演会。
「かんしゃく」。小言幸兵衛みたいな話だった。噺に入るまでのいわゆる小三治まくら、独演会ならではのとうとうとしたもの。紫綬褒章伝達式への怒り(?)、天皇君が代についてのねじれた感情を吐露しつつ、小田和正の「木蓮の涙」に涙した話がふっと入り込んだりして。なんとなく保坂和志の文体を思い出すのであった。とうとうとあるエピソードを語っておいて「そうではないんですけどね」と全否定するような語り方が。
「大山詣で」。ちょっとうつらうつらしてしまった。
席を同じくしたIさんと食事。例によって気がついたら3時過ぎ。