モルゴーアカルテット定演

NHKスペシャル「明治」の第一回をDVDで。小学校令に尽力した沢柳政太郎に焦点。中学校への進級のみを目的にした教育に問題ありとして、記憶の詰め込みではなく「学ぶこと」それ自体にシフトした教育を普及(体育の導入なども)させたものの、成人の知識のなさ(学力低下)が問題になったりして、やっぱり中学校への競争が激しくなり、理想を追い求めた沢柳は「成城学校」という学校を作って自由教育をすすめる。今とおなじ構図が明治にもあったよということか。ゆとりがだめでやっぱり学力重視にすんだけど、そういうのもやっぱりひずみをうんじゃうんだよな、という。関係ないけど、自由教育じゃなかったからよかったと思った。というのも、田舎には何もないので、あるていど詰め込んでくれないと本を読む取っ掛かりもないし、絵とか映画とか音楽とかに「自分の興味があるもの」としてコミットできないから。

NHKの昔のドラマ「ザ・商社」の第一回を見てから、トッパンホールに行って、モルゴーア・カルテットの第23回定期演奏会


ハイドン弦楽四重奏曲 嬰へ短調
ウェーベルン弦楽四重奏のための緩徐楽章》(1905)
ペンデレツキ《弦楽四重奏曲 第2番》(1968)
バルトーク弦楽四重奏曲 第6番》(1939)

アンコール
ボロディン弦楽四重奏曲 第2番》第3楽章
カセハラ《5つの小品より第5曲 ホックストローク》(1925)
PBDバッハ《4手のビオラハープシコードのためのソナタ


ウェーベルンが素晴らしくよくて、切なくなってしまったくらい。
でもメロディーは憶えていない。そのときだけ引き込まれてしまった。まさに時間芸術の時間芸術たるところ。ウェーベルンにはまりそう。ベルク、ウェーベルンシェーンベルクは第二次ウィーン楽派というわけで、ベルクとシェーンベルクと並んでしまうと暗そうなのだが、暗いというのではなくて静謐。そして意外にも調性があるので聞きやすい。きれい。いわゆる不協和音がガーガ―というのではない。うっとりききほれましたわ。吉田秀和ウェーベルンを再評価していたっけなあ、去年かおととしの朝日で。
ペンデレツキはもうアクションパフォーマンス。半音階ずつはなれた音をグゥイィィ〜といきなりかまして(トーンクラスターってやつか)キャッキョッ、ペペペ、ポン、グゥゥゥ〜ビビビ、シャコシャコシャコ、フフィフィヒフィー、という感じ。
ボロディンは旅してる感じになる。まさに中央アジアの大草原という雄大なかんじ。装飾音符がオリエンタル。
カセハラってのはイタリアの作曲家で、この時期にモダニズム風作品を描いてたらしい。未来派になんか関係してたのかな。激しい、モルゴーアらしい曲。
バッハ(このバッハは何バッハなんだろう)の曲はすごかった。4手というからには1台のビオラを二人で弾くのだ。弦と弦がクロスしながら一台のビオラが2つの旋律を奏でる。向かい合って座る奏者二人。一人が肩に胴体部を置き、一人が肩に先端部を置く。この異様な光景に会場が沸き、笑い声も混じる中バッハな感じのチロチロした曲が始まる。見に行ってよかったコンサート。
若い人が割かし多かった。8割以上席が埋まってた。モルゴーアを知ってから7年以上が経つが、こんなに人気だったかあ。ほんと若い人多かったなあ。