ジャン・コクトーはみうらじゅんみたいな絵を描いていた

仕事に段落がついたので、上京しているN先生に電話をすると、ちょうど日本橋三越の「ジャン・コクトー展」に行くというので、ご一緒することにする。日本橋三越って日本橋三越しかないところなんだ。まわりにこれといって何があるわけでもない、孤立してる場所に立地していた(まあ中央三井信託銀行本店がそびえてるくらいか)。そんなことにあらためて驚きつつ、会場へ。
予備知識といったって、サティと仲がよくて、一緒に「パラード」という舞台をやったことくらいしか知らなかったんだが、やたらと友達の多い人だったことが分かった。フランス6人組(オネゲル、ミヨー、プーランク、デュレ、オーリック、タイユフェール)、エディット・ピアフ、ギルギエフ、ストラヴィンスキーピカソ、あと堀口大學堀口大學が来日時にもらったというサイン&生イラスト本(やたらもらってる。15,6冊あった)が面白かった。編み笠をかぶってSMメガネみたいのしてる貴婦人の絵とか、どうしたんだろうというものもあった。カエルが痙攣したように上を向いているみうらじゅんの絵があるけれど、そういう絵もあった。N先生にみうらじゅんみたいですねと言ったらわかってくれなかった。
エディット・ピアフの死の知らせを新聞記者かなんかのコメントを求める電話で初めて知り、ショックでまもなく死んだというのもすごい。やたら被写体やモデルにもなってる。まあかっこいい紳士ですなあ。日本橋のライオンでビールを飲みながら、先生、しかし大學とコクトーの関係もあれだけど、君、ジャニーズっていうのは正当な日本文化の伝統を引き継いでいるという意味で評価すべきなんじゃないか云々……。「ザ・商社」の話を振ってみると案の定盛り上がり、和田勉のすばらしさ、加藤嘉のすばらしさ、「中央流砂」のすばらしさなどを教えてもらい、渋谷に出て飲みなおす。
帰りがけ、倫理教師Nに電話する。山手線に乗るとまもなく遊びに来ないかとメール。23区外なのになぜか行ってしまう。新築の部屋に住んでおり思いのほかきれい。くだらない話をしていたら眠くなって、酒もそこそこに寝る。満足そうなN。