鶴八鶴次郎/アジアのキュビスム/千秋ちゃんの『武蔵野夫人』

いや、明日発売の週刊新潮石原千秋が『武蔵野夫人』をレビューしていただけの話。ちょっと読んでみたいなと思いましたですな。千秋先生、ゼミが「もてない男」なんだそうで。要するに早大教育学部の国文科には近代文学ゼミ枠が2つしかないから、もう先輩によって埋まっているのだ問いう説を小耳にはさんだことがあるんだけど、さて。あれ、でも来年からは地図が変わるのかな。石原ゼミは興味深いから講義内容を本にしてもらいたい。佐々木敦の講義も読んでみたい。

BS2で「鶴八鶴次郎」をやるというので、それにあわせてひるめし(穴子天丼)をすませ、テレビの前に。第1回直木賞作品になった川口松太郎の原作。成瀬巳喜男長谷川一夫だし題名が題名だしと、なぜか勝手に侍ものを想像してたので、まさか鶴八&鶴次郎の男女新内節デュオの楽屋話だとはちいとも思わなかった。だからこそ、その落差にしびれつつ、手をたたいてこれは面白いと思えたのであった。なにせストーリーはコンビの出世と喧嘩別れの繰り返し繰り返しなんだが、(「タイガー&ドラゴン」の清水ミチ子と古田新太漫才コンビの役で出てきた回の流れに似てる感じ)山田五十鈴(=鶴八)の三味線、長谷川一夫(=鶴次郎)の唄に参ってしまう。寄席の楽屋での出番後の会話。「あすこはもうちょっと強くやんなきゃ」(三味線を引く手の動きをしつつ)「ツツツーツンツン」「そうそうそこがいけない」なんてやりとりを長回し(たぶん)でみせるあたりなど、芸だなあと嘆息。山田五十鈴のきつい感じもよくて「何さ、」というせりふなどカッコいいのであった。藤原釜足がマネージャー役。寄席のシーンが結構長くあるのだが、落語家の気配がない。寄席がたくさんあったころは曲芸や新内、講談や操り人形などがメインの寄席もあったということなんだろうか。

夕方、風雨の中を国立近代美術館「アジアのキュビスム」展。もちろんインドやタイや韓国やフィリピンに画家がいることは当たり前なんだが、そうは思っていても現物を見ると「いるんだよなあ」と妙な実感が沸く。キュビスム受容は国によって時期が違うので、たとえば東南アジアのマレーシアなんかだと日本が1920年代にはキュビスムが盛んになったのに対し、その30年後1950年ころに火がつくなんて現象が起こっている。で、もちろん時間は移ろっているので、初期受容した国が機械やら光やらを対象にしているのに対し、東南アジアは独立の気運が起きたときに=ナショナルアイデンティティを奮い立たせる農村の風景とか農民の労働とかをキュビスムで捕らえるようになっている。手法と歴史のズレがこんな現象も起こすんだなあと。

有楽町の焼き豚屋でホッピー、レモンハイ。焼き豚バカうま。その後、YさんFくんと合流し、ガード下で。11時ごろYも合流。解散して池袋でYと中学生並の猥談をして帰宅。