フジサンケイ家族

中川一徳『メディアの支配者』読了。
大著だ。話はフジサンケイグループの権力者、鹿内信隆がヘンリー・ムーアの「ファミリーグループ」を箱根彫刻の森美術館に置こうとする奔走からはじまり、信隆がお台場にアントニオ・ガウディの「サグラダ・ファミリア」のようなシンボルを造りたいと丹下健三に依頼するところで終わる。つまりラジオ新聞テレビで日本中を包囲したメディアグループとは「ファミリー」の歴史にどうしようもなく根ざしている。「フジテレビ」に代表されるあの何も考えてないような明るいイメージの裏側にあるのは「ファミリー」をめぐる不気味さだ。1992年7月21日の日枝久のクーデターで崩れる「ファミリー」の周囲には権力欲、執念、怨念だけがあって、「楽しくなければ、テレビじゃない」(日枝久)のフジテレビはますます不気味に見えてきたという感想である。
FFのオーディーンのように現れたホリエモン(日枝がどうしてあんなにホリエモンに激怒したのかがよく分かった)については次回作ということなのだろうか。とにかく、きれいはきたない、明るいは暗いということですなあ。

あの目玉マークはタモリのいたずら書きが「きっかけ」だと思っていたのに、この本では議長室でデザイナーによる作品から選んだとなっていた。タモリ説は都市伝説なのか。

帰京し、銀座→有楽町。