流行してない語大賞/井上ひさし『円生と志ん生』

そんな季節になった。
http://www.jiyu.co.jp/singo/nominate2005.html

この中で問題なのは、どうしてこれが、という言葉がよくノミネートされているところ。
「MOTTAINAI」なんて流行ったか? 「愛・地球博」なんて言葉自体は流行ったか?
よっぽど「愛知万博」という言い方のほうが人口に膾炙してたろうによ。あと「おひとりさま」? なんじゃいそりゃ。知らん。知らないんだから流行してないんだってば。その辺、しっかりとやってほしいんだがな。「敵対的買収」って流行ってないってそんなの。内輪の話なんだから。そんなんだと、よっぽどネットの「検索ワード」検索率で統計取ったほうが民意を反映してるとしか言われかねませんぞ。
巷であれこれやるよか、ネットのほうが世論を反映している、という証左にもなりかねない事態。ってこれはなかなか、おおごとだと思うんだが。

個人的にはノミネートから選べば「想定外」が応用もよくきくし、流行していたと。あとは「刺客」か。

賞で思い出したけどサントリー学芸賞、今年は「社会・風俗部門」該当者なしだった。ちょっとさみしい。

いまフジでホリエモンの脳をスキャンしたりしてる。いろんな意味ですごい。元ライブドアの榎本の脳みそもスキャンしてほしい。

井上ひさし『円生と志ん生』(集英社)。これ、紀伊国屋ホールでやってたんだけど、見たかったんだよな。二人は終戦の3ヶ月位前に一緒に満州は大連にわたる。ところが足止めをくらい、日本にいつまでたっても引き揚げられない。その日々をからっと戯曲にしてる。フラの志ん生とカッチリの円生の対比はそれほど打ち出されてはいない。そのかわり、二人の根本的な共通点、「人を笑わせたい」ということのまっすぐさが思わず出てくるところにホロッとしたり。適当な小拙を言っていると、修道院たちが意味を見出しすぎて「これは聖書のどこどこで言っていることですわ」なんて二人を神様扱いしちゃうところとか面白かったし、落語に過剰な意味を求めることのおかしさも言っているようで、唸った。角野卓造志ん生、観たかったねぇ。