一噌幸弘といえば

昔、フジテレビの深夜で「私の葬送行進曲」という番組があったんだが、それは各界の著名人、たとえば児玉清――最新号の『文藝春秋』で児玉清安倍晋三と対談してて、聞き手なんだけど保守論客的な役割をやってた。ちょっとというか大分違和感のある対談だった。児玉清だから本の話がメインの装いなんだが、なぜか官房長官が映画「クラッシュ」を観たという話が印象深い――が葬送にはワーグナーを使ってほしいとかなんとかインタビューに答え、その曲を坂田明のサックスなど豪華メンバーで演奏するものだった。誰だか忘れたんだが「ラジオ体操第一」をリクエストした人がいて、そのときはピアノと坂田明と、そして一噌幸弘の笛だったのだ。このときはじめて、涼しい顔で横笛を縦横無尽に吹きこなす一噌氏を知るのだが、それから12年余り経っただろうか、今日、浜離宮ホールで行われた村治佳織コンサートで目の当たりにした。
ギターとチェンバロと笛のアンサンブルでいろいろやってた。はっきり言って笛とギターの相性はあんまりよくないんじゃないかという結論に達したが、それにしても一噌氏のテクニックは凄かった。二本一気に吹いて見せたり。
村治佳織は生ではじめてみたが、きれいですね。ややもするとサッカーの川淵三郎チェアマンに似ている顔なんだが。