澤田会長に質問「ライブドアについてどう思いますか」

テレ東に合わせたら石川五右衛門鈴々舎馬風に話を聞いているので、どういう悪ふざけだと思ったら、村上龍がHISの澤田秀雄を呼び出してホリエモンのこととか事情聴取しているのだった。澤田氏が「ライブドアについてどう思いますか」と五右衛門に質問された瞬間「ハゥゥ」とか悟空がしっぽをつかまれたときのような声を出していた。(この質問はすぐ終わっちゃった)(このカンブリア宮殿という番組、来週はライブドアの社員と平松庚三をゲストにした回を流すらしい)

西川美和「ゆれる」

西川美和「ゆれる」を観た。オダギリ効果なのか、常に満席気味らしい。新宿武蔵野館は今日も満席。ほとんど女性。でも方々で評判なのでオダギリジョーのせいだけではないと思って期待。そして期待以上で満足。田舎で地味に暮らす兄(香川照之)と東京でカメラマンとして活躍する弟(オダギリジョー)。兄弟の母の一周忌、久しぶりに再会した二人は幼馴染の智恵子(真木よう子)と蓮見渓谷へドライブに行くことにする。渓谷には吊橋がある。弟を慕う智恵子は彼を追って吊橋へ足を踏み入れる。揺れ。兄が追う。智恵子が転落する。弟はその瞬間を目撃する。弟は兄へ駆け寄って大丈夫だから、とかばう。兄をかばい奔走する弟。しかし公判が始まり、兄弟の間に埋まらない齟齬がうまれはじめる。という感じ。おそらく好意的に兄弟が修復する物語と見るべきなんであろうが、香川照之が巧すぎて(?)悪意的な物語としてずっと見ていた。とにかく幼馴染の女性をめぐっての兄弟の心理的な攻防、弟が智恵子とセックスをしておきながらそれを悟られないように嘘をつくシーン(洗濯物をたたむシーン)においては弟が攻めつつ守勢に入り、兄が守りつつ攻めている気配なのだが、そのあたりから兄弟間にある膜のようなものが心理的に前景化してくる。結局このシーンが重要になってくるんだが、兄はその後の公判で示すようにこの夜のことにおいて弟に負荷をかけはじめる(ように思える)。罪の意識を与えるようにして、弟へ復讐しているようにさえ感じられてくる(兄の偽善に怒りだす傍聴席のオダギリの表情がまた良かった)。弟は弟でそれへの復讐をするわけだが、ラストでは弟がその間違いに苛まれ、やがて兄弟の絆が復活するような印象をもたせる。しかし果たして兄は弟にすべてを奪われてしまうがままでも平気な人間なのだろうか。兄は、弟に自分は過ちを犯したのだという罪の意識をずっと抱いていろという、永続的な復讐を仕掛けたのではなかったか。弟と兄は道路をはさんで微笑みあう。とその瞬間、兄の笑顔は兄が乗ろうとしていたバスの到着によってかき消される。甲府駅行きのバス。兄はさらなる復讐、弟へのさらなる負荷を目指すのか、それとも。結末はゆらされている気がするんだが。やっぱり、いい話なのかなあ。「ゆれる」といえばカメラも結構ゆれててヒッチコックの「めまい」みたいな感じ。画のとりかたも随分凝っていて(オダギリと真木のセックスシーンにつなげて香川照之がガソリンを車に注入するシーンをいれたり、時計の音とまな板の上で刻む包丁の音がどんどん混濁していくシーンがあったり)面白かった。蟹江敬三伊武雅刀の兄弟もよかった。