明日の記憶(映画のほう)

木曜日に観にいったのだった。結論としては堤幸彦は本当にこの映画を撮りたかったのかと勘ぐってしまうくらいのテーマ性の比重。どうして堤幸彦なんだか記号論的に不明である。おじょうずに撮っていたけど。現代版「恍惚の人」と言ってしまえば乱暴すぎる。がまあ、思ったより重たい話なのである。話のもってき方が「ウケる」つくりで、周りのおばさんたちが鼻水をすすることすすること。ところが前半部(娘の結婚〜退職の場面)の山場での涙は、後半部のシリアスな展開によって拒絶される。「あんたにはこれから自分の人生が長くあるんだから、ご主人に縛られてずっと生きていくことはないのよ」といった趣旨のことを渡辺えり子が妻役の樋口可南子に言うんだが、これがいちばんシリアスなことだなあと思うのだった。主演は渡辺謙。監督は堤幸彦。話題作のための装備はしましたよというところに鼻白みつつ。樋口可南子の娘時代を演じてた彼女の名前が、ずっと気になっている。